Technical Report 血管吻合法:ポロキサマーゲルにおける制御可能な相転移を用いる血管吻合法 2011年9月1日 Nature Medicine 17, 9 doi: 10.1038/nm.2424 血管吻合は血管や心血管の手術、また移植手術の要である。吻合の大半は縫合により行われるが、縫合は技術的に非常に難しく、また、内膜肥厚や異物反応のために失敗することもある。縫合に代わる方法は多数提案されてきたが、縫合よりも優れていることが証明された方法はまだなく、特に小血管やアテローム硬化性血管に関しては皆無である。今回我々は、縫合を必要とせず、外傷が生じることもない新しい血管吻合法を開発した。この手法では米国食品医薬品局(FDA)が認可している熱可逆性三元ブロックポリマーを用い、市販の接着剤を管腔内に入れることで、血管がつぶれないように一時的に保持して、管端を正確に接近させる。この方法で我々は、対照として行った手縫いの縫合施術例の5分の1の時間で端端吻合を迅速に行うことができた。また、縫うには小さすぎる(<1.0mm)血管も、この無縫合法により再建できた。再建したラット大動脈の画像からは、縫合例と同等の開存性、流量、破裂強度が確認され、組織学的解析からは、施術後最大2年まで炎症や繊維症の減少が確認された。この新技術は、心血管疾患の外科的処置の能率および結果を向上させる見込みがあると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る