Technical Report 画像化法:切片化しない成体脊髄の三次元画像化に より損傷後の軸索再生とグリア細胞応答を評価する 2012年1月1日 Nature Medicine 18, 1 doi: 10.1038/nm.2600 現行の組織学的手法や画像化技術では、神経軸索やグリア細胞の応答に関する情報の一部しか得られず、これが中枢神経系(CNS)の再生の研究を阻んでいる。今回我々は、テトラヒドロフランを使った透明化の手法を開発した。この手法によって、固定したが切片にはしていない状態の成体CNS組織が透明化され、光学的画像化法で完全に観察できるようになった。脊髄の大型断片中で、蛍光標識した細胞を、組織切片を作製する必要のない「超顕微鏡法」と二光子顕微鏡法によって画像化した。損傷の1年以上後に、成長能のある軸索は損傷部位を通り抜けて十分に再生していることがわかった。成長能のない少数の軸索も、損傷部位を迂回した場合には再生できた。さらに、脊髄損傷後のグリア細胞の量的変化が正確に決定された。このように、透明化したCNS組織では、軸索再生やグリア細胞応答の確実な評価が可能となる。この透明化法では、ほかの臓器も透明化することができ、さまざまな前臨床的枠組みに有用な手法となる。 Full text PDF 目次へ戻る