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免疫:加齢に伴って起こるmiR-181aの発現低下はDUSP6活性を上昇させてT細胞受容体の感受性を損なう
Nature Medicine 18, 10 doi: 10.1038/nm.2963
ヒト免疫系がワクチン接種に対して応答する能力は年齢とともに低下する。我々は、ナイーブCD4+ T細胞では、T細胞受容体(TCR)誘導性の細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)リン酸化に年齢に関連する欠陥が生じるが、その一方でζ鎖結合プロテインキナーゼ70(ZAP70)やホスホリパーゼC-γ1のリン酸化のような他のシグナルは障害されていないことを明らかにした。ERKシグナル伝達の異常は、二重特異性ホスファターゼ6(DUSP6)によって引き起こされ、DUSP6タンパク質の発現はmiR-181aによる抑制の低下によって加齢とともに増大した。miR-181aの再構築は、高齢者のナイーブCD4+ T細胞でDUSP6の発現を低下させた。miR-181aもしくは特定のsiRNAを用いたDUSP6抑制、およびアロステリック阻害剤である(E)-2-ベンジリデン-3-(シクロヘキシルアミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンによるDUSP6阻害はCD4+ T細胞応答を改善し、活性化マーカーの発現増加、増殖の改善や優先的な1型ヘルパーT細胞分化の促進が見られる。DUSP6は、高齢者のT細胞応答を回復させるための治療標的となる可能性があり、T細胞応答の回復はワクチン接種の有効性を高めると考えられる。