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免疫:Toll様受容体5のリガンドであるフラジェリンは、室内アレルゲンに対するアレルギー反応のプライミングによって喘息を進行させる
Nature Medicine 18, 11 doi: 10.1038/nm.2920
アレルギー性喘息は、好酸球性気道炎症と粘液産生および可逆的な気道閉塞を特徴とする多因子疾患である。室内アレルゲンへの曝露は喘息の危険因子だが、喘息は室内に存在するすべての細菌、中でもグラム陰性細菌の数とも関連がある。細菌由来の産物はアジュバントとして作用しうるので、これらが吸入されたアレルゲンに対するアレルギー感作をプライミングすることによって喘息が進行する可能性が考えられる。ハウスダスト抽出物(HDE)が、in vitroでは抗原提示樹状細胞を活性化し、in vivoでは吸入された無害なタンパク質に対するアレルギー感作を促進できることは、この説を裏付けている。微生物由来のいずれの産物がHDE中のアジュバント活性の主体となっているかについてはわかっていない。微生物由来の産物のアジュバント活性のスクリーニングにより、細菌のタンパク質であるフラジェリン(FLA)が、吸入された無害なタンパク質である卵白アルブミンに対する強力なアレルギー性気道反応を誘発することが明らかとなった。さらに、哺乳類でのFLA受容体であるToll様受容体5(TLR5)は、HDEに含まれる天然の室内アレルゲンに対する強力なアレルギー反応をプライミングするのに必要であった。また、喘息患者は、健常者に比べて血清中のFLA特異的な抗体の量が多い。これらの結果は、室内に存在するFLAが室内アレルゲンに対するアレルギー反応をTLR5依存的にプライミングして、アレルギー性喘息の進行を促進していることを示唆している。