Letter

がん:PDGFR阻害はNPM-ALKが原因のリンパ腫の合理的かつ有効な治療法である

Nature Medicine 18, 11 doi: 10.1038/nm.2966

未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)は、小児や若年成人にみられる悪性度の高い非ホジキンリンパ腫である。ALCLでは染色体転座が頻繁に起こっており、その結果、がんタンパク質のNPM-ALK(nucleophosmin-anaplastic lymphoma kinase)が発現される。NPM-ALKによって発症するリンパ腫の増殖に必要とされる下流の重要な分子事象については一部しか明らかにされていない。本論文では、NPM-ALKが引き起こすリンパ腫形成のマウスモデルで、活性化タンパク質1ファミリーに属するJUNとJUNBが血小板由来増殖因子受容体β(PDGFRB)の転写制御を介して、リンパ腫の進行と腫瘍の播種を促進することを示す。治療によってPDGFRBを抑制すると、NPM-ALKトランスジェニックマウスの生存期間が著しく延長し、移植されたNPM-ALK腫瘍ではALK特異的な阻害剤の効果が増大した。とくに、難治性のNPM-ALK陽性ALCLの末期患者では、PDGFRAとPDGFRBの阻害によって、急速かつ完全で持続性のある寛解がもたらされた。我々の結果は、PDGFRBがJUNやJUNBのこれまで知られていなかった標的であることを明らかにしており、これはALCLの非常に有効な治療法となる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度