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肥満:分子時計構成因子Arntlを脂肪細胞特異的に欠失するマウスでの肥満

Nature Medicine 18, 12 doi: 10.1038/nm.2979

脂肪細胞は過剰のエネルギーをトリグリセリドとして貯蔵し、貯蔵しているエネルギーの量を脳に伝達する。今回我々は、分子時計の核心的な構成因子をコードする遺伝子のArntl(別名Bmal1)を脂肪細胞特異的に欠失させると、摂食の日周リズムの位相がシフトして、その結果肥満に至ることを示す。この遺伝子を肝細胞または膵島で欠失させても、肥満は生じない。食欲を調節する視床下部神経ペプチドの発現変化は、脂肪細胞から中枢神経系への摂食行動の時間を定めるフィードバックと一致している。脂肪細胞の体内時計の破壊は、脂肪細胞のトリグリセリドに含まれる多価不飽和脂肪酸の減少と関連している。変異マウスと野生型マウスとの間でみられるこのような差異は、循環血中の多価不飽和脂肪酸と、摂食を調節する視床下部ニューロンにおける非エステル化多価不飽和脂肪酸の濃度に反映される。したがって本研究は、エネルギー調節の時間的組織化に脂肪細胞の時計が果たす役割を明らかにし、摂食のタイミングが脂肪細胞-視床下部軸の調節因子であることをはっきりさせ、また摂食のタイミングが体重に及ぼす影響を示している。

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