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繊毛関連疾患:NG2+PDGFR-α+神経前駆細胞の分化の異常は、繊毛関連疾患モデルマウスで新生仔水頭症を引き起こす

Nature Medicine 18, 12 doi: 10.1038/nm.2996

水頭症はよくみられる神経疾患であり、脳室の拡張を引き起こし、病状発生率と死亡率は高い。新生児の症例のほとんどで発症原因は不明であり、複数の遺伝子が関与する複雑な遺伝と環境要因がかかわっているらしい。新生児での水頭症発症の分子機序を突き止め、非侵襲的な治療法を開発することは重要である。今回我々は、ヒトの繊毛関連疾患であるバルデー・ビードル症候群(BBS)の水頭症モデルマウスを使い、新生仔水頭症の発症に神経前駆細胞が果たす役割を明らかにした。このマウスモデルでの水頭症は、血小板由来増殖因子受容体α(PDGFR-α)シグナル伝達の異常によって惹起され、アポトーシスの促進と、chondroitin sulfate proteoglycan 4(別名neuron-glial antigen 2:NG2)+PDGFR-α+神経前駆体細胞の増殖不全が起こる。BBS変異マウスで、この経路を標的としてリチウムを投与すると、NG2+PDGFR-α+前駆細胞の増殖が回復し、脳室容積が低下した。今回得られた知見は、新生仔水頭症の発症に神経前駆細胞がきわめて重要であることを示しており、よくみられるこの神経疾患に対する新規治療標的を明らかにしている。

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