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がん:NK細胞はNCRのNKp30およびNKp46を介して膠芽腫に対するウイルス療法を妨害する
Nature Medicine 18, 12 doi: 10.1038/nm.3013
膠芽腫での腫瘍崩壊性単純ヘルペス(Herpes simplex)ウイルス(oHSV)療法に対して免疫応答がどういう役割を持つかについては議論が続いているが、それは免疫応答が有効性を高める可能性と抑制する可能性の両方が考えられるからである。マウスでは膠芽腫へのoHSV感染後の数時間以内に活性化されたナチュラルキラー(NK)細胞が感染部位へ動員されることが観察された。この応答は膠芽腫に対するウイルス療法の効果を大きく低下させた。oHSVによって活性化されたNK細胞は、腫瘍内でのマクロファージおよびミクログリアも活性化させた。in vitroでは、ヒトNK細胞は、oHSVが感染したヒト膠芽腫細胞株を選択的に崩壊させた。この殺作用の増強は、NK細胞のNCR(natural cytotoxicity receptor))であるNKp30およびNKp46に依存しており、NKp30およびNKp46のリガンドの発現はoHSVが感染した膠芽腫細胞で上昇している。Ncr1−/ −マウスではHSVの力価が上昇しており、またNcr1−/ −NK細胞を養子移入した神経膠腫モデルマウスではoHSVの効果が増大していることがわかった。これらの結果は、膠芽腫に対するウイルス療法が、特定のNCRが関与するNK細胞抗ウイルス応答により部分的に制限されることを実証し、また、がんウイルス療法を増強する新しい標的候補を明らかにしている。