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筋疾患:AICARはRyR1変異マウスの熱誘発性
突然死をAMPK活性化とは無関係に防ぐ

Nature Medicine 18, 2 doi: 10.1038/nm.2598

1型リアノジン受容体(Ryr1)のY522S変異はヒト悪性高熱症に関連しているが、これと類似の変異であるY524Sをノックインしたマウスは、高温(≧37℃)に短時間曝露すると死亡する。今回我々は、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボヌクレオチド(AICAR)投与が、このマウスモデルで熱が誘発する突然死を防ぐことを示す。AICARによる保護はAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)活性化とは無関係であり、筋小胞体から筋形質へのCa2+の漏出を減少させるという、AICARのRyr1変異体に対する新規作用によるものである。したがって、AICARは静止状態のCa2+濃度をさらに上昇させるように働く活性酸素種(ROS)と活性窒素種(RNS)の両方の量のCa2+に依存した上昇を防止する。熱による静止状態Ca2+濃度上昇とROSおよびRNS量の増加は、抑制されない場合は増幅回路を作りだし、これによって持続性の筋収縮や筋融解が起こり、死をもたらす。抗酸化剤はin vitroでこの回路の減弱に有効だが、in vivoではAICARだけが熱誘発性の死を防ぐ。今回の知見は、RYR1変異に関連した、運動や熱が誘発する突然死を起こしやすい患者の予防的治療にAICARが有効である可能性を示唆している。

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