Article インフルエンザ:ヒトの既存のインフルエンザ特異的CD4+ T細胞はインフルエンザチャレンジ感染に対する疾病防御と関連している 2012年2月1日 Nature Medicine 18, 2 doi: 10.1038/nm.2612 インフルエンザウイルス感染に対する防御免疫は中和抗体によって媒介されるが、ヒトのインフルエンザ免疫にT細胞が果たす役割の詳細はよくわかっていない。今回、チャレンジ感染に使われるH3N2もしくはH1N1ウイルスに対する抗体が検出されない健康な被験者群についてインフルエンザ感染実験を行い、インフルエンザ感染前と感染中のT細胞応答を詳しく調べた。ウイルスが鼻腔サンプルからは一掃され、血清抗体はまだ検出されない7日目までに、インフルエンザ特異的T細胞応答が大幅に拡大することがわかった。インフルエンザ内部タンパク質に応答する既存のCD4+ T細胞は、ウイルス排出がより少なく、病気がより軽症であることと関連していたが、既存のCD8+ T細胞ではこうした関連は見られなかった。このようなCD4+ 細胞は、パンデミックを起こしたH1N1(A/CA/07/2009)ペプチドにも応答し、また細胞傷害活性をもつことが実証された。これらの細胞は、同種および異種応答の重要な統計的相関因子であり、特異的抗体応答がない状態で新しいインフルエンザ株に感染した際の重症度を軽減する可能性が考えられる。我々の結果は、新興インフルエンザ株に対する今後のワクチン設計に役立つと考えられる情報を提供している。 Full text PDF 目次へ戻る