我々は、KIF5B(kinesin family 5B遺伝子)とRETがん遺伝子のインフレーム融合転写物を、全トランスクリプトーム塩基配列解読によって明らかにした。このような融合は、日本および米国の肺腺がん(LADC)患者の1〜2%に存在する。このKIF5B-RET融合は、RETキナーゼの異常な活性化を引き起こし、またEGFR、KRAS、HER2およびALK遺伝子の変異あるいは融合と共には見られないこと、RETチロシンキナーゼ阻害剤であるバンデタニブが融合によって誘導されるNIH3T3細胞の足場非依存的増殖活性を抑制することから、LADCの新規ドライバー(責任)変異であると考えられる。