Letter 自己免疫疾患:セリアック病の腸病変部には、体細胞超変異 が限定されたトランスグルタミナーゼ2 特異的IgA自己抗体を分泌する形質細胞が非常に多く存在する 2012年3月1日 Nature Medicine 18, 3 doi: 10.1038/nm.2656 セリアック病は免疫介在性疾患である。この疾患では、ヒト白血球抗原のHLA-DQ2あるいはHLA-DQ8を発現する患者で、外来性抗原であるグルテンに応答して、酵素のトランスグルタミナーゼ2(TG2)に対する粘膜自己抗体が産生される。我々は、腸の抗体分泌細胞(ASC)をex vivoで単離し、その抗体レパートリーの発現クローニングによって、IgAの抗TG2応答に対する包括的かつ偏りなしの評価を行った。活動期セリアック病の患者では、TG2特異的形質細胞が十二指腸粘膜内で顕著に増加していることが見いだされた。TG2特異的抗体のTG2に対する親和性は高いが、体細胞変異による適合はほとんど見られなかった。TG2特異的ASCは、感染によって誘導される末梢血形質芽球とは異なり、最近増殖したものではなく、ex vivoでの寿命も短くはなかった。これらの結果は、TG2に高親和性を示す生殖細胞系列のレパートリーが存在し、これらが自己反応性 B細胞の大量産生を起こしている可能性を示している。TG2特異的抗体は酵素活性を阻害せず、IgA1あるいはIgG1として発現された場合はTG2を介する架橋の基質となるが、IgDあるいはIgMとして発現された場合はそういうことはない。この結果、IgDおよびIgMを発現するナイーブB細胞に由来する形質細胞の選択的動員が生じると考えられる。このことは、セリアック病が慢性疾患であるにもかかわらず、TG2に応答する抗体が一次免疫応答の痕跡を示す理由を説明できる可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る