Technical Report 骨疾患:間葉系幹細胞の骨への誘導によって引き起こされる骨形成増進と骨量増加 2012年3月1日 Nature Medicine 18, 3 doi: 10.1038/nm.2665 骨芽細胞へ分化できる骨髄内間葉系幹細胞(MSC)の数は老化によって減少し、これが骨形成能の低下につながる。しかし、MSCの骨細胞への分化を誘導できれば、骨再生療法の有望な選択肢の1つになる可能性がある。我々は、MSC表面のインテグリンα4β1に特異的に高い親和性を示す合成ペプチド模倣型リガンド(LLP2A)を、骨に親和性の高いビスホスホネート(アレンドロネート、Ale)に結合することにより、MSCを骨表面へ誘導する手法を開発した。LLP2A-Aleは、in vitroでMSCの遊走と骨細胞への分化を引き起こした。LLP2A-Aleの単回の静脈注射で、異種移植実験および免疫正常マウスの両方で骨梁形成と骨量の増大が見られた。さらに、LLP2A-Aleは、骨獲得がピークに達した後やエストロゲン不足の結果起こる骨梁の骨量低下を防いだ。これらの結果は、LLP2A-AleがMSCを骨へ誘導して、新たな骨を形成し骨強度の増強を引き起こせることの原理証明になる。 Full text PDF 目次へ戻る