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生殖医学:生殖年齢女性の卵巣から精製した分裂活性の高い生殖細胞による卵母細胞形成

Nature Medicine 18, 3 doi: 10.1038/nm.2669

in vitroで卵母細胞を形成し、in vivoで受精能を有する卵を形成する生殖幹細胞が成体マウスの卵巣中で同定され、単離されている。本論文では、原始生殖細胞と一致する遺伝子発現プロファイルと高い分裂活性を有する希少な細胞を精製するための、成体マウス卵巣ならびにヒト卵巣皮質組織の双方に適用可能な蛍光活性化細胞選別法(FACS)に基づくプロトコルを呈示し、検証する。このような細胞は、in vitroでいったん樹立された後は何か月間も増殖可能であり、35〜50μmの細胞を自然発生的に産生し、これらは形態、遺伝子発現、一倍体(1n)細胞を生じる状況から卵母細胞と判断できる。このヒト生殖系列細胞をGFPを安定的に発現するように改変し、ヒト卵巣皮質生検組織へ注入して免疫不全雌マウスに異種移植したところ、1〜2週間後にGFP陽性の卵母細胞を有する卵胞の形成が認められた。したがって、生殖年齢の女性の卵巣は、成体マウスと同様に、in vitroで増殖可能であるとともにin vitroおよびin vivoで卵母細胞を産生する、分裂活性の高い希少な生殖細胞を有している。

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