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代謝:インスリンはin vivoで肝臓AktおよびFoxo1の非存在下でも肝臓代謝を制御する

Nature Medicine 18, 3 doi: 10.1038/nm.2686

フォークヘッド転写因子O1(Foxo1)は、絶食時の肝臓で転写プログラムを駆動し、摂食後は胸腺腫ウイルスがん原遺伝子1(Akt)によって阻害されるとする説は、多くのデータによって裏付けられている。今回我々は、肝臓のAkt1およびAkt2遺伝子を欠失するマウスは耐糖能障害およびインスリン抵抗性を示し、摂食時の肝臓での転写応答が障害されることを明らかにした。この障害は、Aktに加えてFoxo1を肝臓特異的に欠失させることによって正常化された。特に、AktおよびFoxo1が共に欠損した場合には、マウスは絶食下および摂食下のいずれでも適切に反応するようになり、インスリンが肝臓のグルコース産生を正常に抑制した。遺伝子発現解析から、肝臓のAktの欠失により、Foxo1に依存する遺伝子発現が恒常的に活性化されるが、Foxo1 Aktを同時に欠失させると、Aktの欠失によって生じる、栄養摂取に対する代謝反応不応性が防止され、摂食後の調節が回復することが明らかになった。以上の結果は、肝臓の代謝ではAktが適切なインスリンシグナル伝達に必須の分子であるとする従来型のモデルとは一致せず、肝臓のAktの主要な作用はFoxo1活性の抑制であり、Foxo1の非存在下では、Aktはin vivoでのインスリンおよび栄養摂取を介した肝臓代謝調節には、おおむね必要ないことを示している。

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