Article アレルギー:共生細菌由来のシグナルは好塩基球の分化 増殖とアレルギー性炎症を調節する 2012年4月1日 Nature Medicine 18, 4 doi: 10.1038/nm.2657 哺乳類のバリア表面に定着する共生細菌は、2型ヘルパーT(TH2)サイトカイン依存的な炎症やアレルギー性疾患に対する感受性に影響を及ぼすが、これらの知見の基盤となる機序についてはよく解明されていない。今回我々は、抗生物質の経口投与によって意図的に共生細菌集団を変化させると、血中IgE濃度の上昇、正常時の循環している好塩基球集団の増加、および好塩基球を介したTH2細胞応答とアレルギー性炎症の増悪という結果を生じることを見いだした。血中IgEレベルの上昇は血液中を循環している好塩基球の増加と相関しており、これはマウスおよび高IgE症候群患者においてともに認められた。さらに、自然免疫に関わるシグナル分子であるMyD88(myeloid differentiation factor 88)のB細胞における発現は、血清中のIgE濃度と好塩基球数の抑制に必要だった。共生細菌由来のシグナルは、骨髄に常在する前駆体集団の増殖の抑制によって、好塩基球の分化発生を抑制的に制御していることがわかった。これらの結果は、共生細菌由来のシグナルが、好塩基球の分化増殖およびTH2サイトカイン依存性炎症とアレルギー性疾患に対する感受性に影響を与える、これまで知られていなかった経路を明らかにしている。 Full text PDF 目次へ戻る