αβ型T細胞の17型ヘルパーT細胞(TH17)サブセットがアレルギー性喘息の発症にかかわっていることを示唆する証拠が集まりつつある。本論文では、樹状細胞のαvβ8インテグリンを欠損するマウスでは、肺でTH17細胞が形成されず、また、ヒョウヒダニやオボアルブミンによる感作および攻撃誘発に応答した気道過敏が起こりにくいことを報告する。TH17細胞の喪失が、気道の炎症あるいは上皮形態に目立った影響を与えずに気道狭窄を抑制したことから、TH17サイトカインがマウスとヒトの気道平滑筋機能に与える直接的影響について調べた。インターロイキン17A(IL-17A)は、IL-17受容体A(IL-17RA)-IL-17RC、NF-κB(nuclear factor κ light-chain enhancer of activated B cells)-RhoA(ras homolog gene family, member A)-ROCK2(Rho-associated coiled-coil containing protein kinase 2)シグナル伝達カスケードを介して気道平滑筋の収縮力発生を促進したが、IL-17FやIL-22にはこのような影響はなかった。樹状細胞のインテグリンαvβ8を欠損するマウスは、オボアルブミンによる感作および攻撃誘発後のこの経路の活性化が障害されており、このようなマウスの気管軟骨輪の収縮低下はIL-17Aによって解消した。これらのデータは、TH17細胞によって産生されるIL-17Aが、気道平滑筋への直接的影響によりアレルゲン誘発性の気道過敏の一因となることを示している。