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肥満:樹状突起を標的とするBdnf mRNAはエネルギー収支とレプチンへの応答に不可欠である

Nature Medicine 18, 4 doi: 10.1038/nm.2687

Bdnf遺伝子の転写産物には、短い3'非翻訳領域(3'UTR)を持つものと長い3'UTRを持つものがあり、Bdnf遺伝子の変異はヒトの肥満を引き起こす。しかし、エネルギー収支の調節における脳由来神経栄養因子(BDNF)の役割の詳細はわかっていない。本論文では、長い3'UTRを持つBdnf mRNA(long 3'UTR Bdnf mRNA)、レプチン、神経細胞活性化と体重の間の関係を明らかにする。long 3'UTR Bdnf mRNAは視床下部ニューロンの樹枝突起に豊富に存在し、インスリンおよびレプチンが樹枝突起でのその翻訳を促進できることがわかった。さらに、短縮型のlong Bdnf3'UTRを持つマウスは重度の過食性肥満になったが、この症状はウイルスを用いてlong 3'UTR Bdnf mRNAを視床下部で発現させることにより完全に解消された。このようなマウスでは、レプチン受容体が正常に活性化されるにもかかわらず、視床下部ニューロンの活性化および食物摂取を抑制するレプチン機能が障害されていた。これらの結果は、視床下部が介在する体重調節過程でのレプチンの作用とBDNF発現とを結びつける新規な機構を明らかにするとともに、この過程に樹状突起でのタンパク質合成が関与していることを示している。

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