Technical Report

細胞療法:1個のLgr5+体性幹細胞をin vitroで増幅
させて得た大腸上皮は移植によって機能的に生着する

Nature Medicine 18, 4 doi: 10.1038/nm.2695

体性幹細胞療法は消化管疾患の治療に有望と期待されている。本論文では、ロイシンリッチリピート含有Gタンパク質共役型受容体5を発現する大腸幹細胞(Lgr5+細胞)を培養で長期にわたって増やす方法について報告する。得られた細胞の移植可能性を検証するため、培養したGFP+大腸組織構造体(オルガノイド)を、粘膜に傷害を加えたマウス大腸へ移植した。移植したドナー細胞は、レシピエントマウスの大腸へ速やかに組み込まれ、傷害により上皮が失われた領域を覆うように生着した。移植後4週間では、ドナー由来細胞は単層上皮を形成し、機能的にも組織学的にも正常な自己複製する陰窩構造を構築した。さらに我々は、ただ1個のLgr5+大腸幹細胞をin vitroで増やして得られたオルガノイドの移植を行い、長期(6か月以上)の生着を観察した。これらのデータは、1個の体性大腸幹細胞をin vitroで増殖させ、これを移植に用いる大腸幹細胞療法の実現可能性を示している。

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