骨髄ニッチは相変わらず、がんや再生医学の分野の研究者を困らせ続けている。骨髄ニッチはどんな成分で構成されているのか、また、さまざまな疾患でこのニッチが近くの細胞にどのように影響しているのかについては、いまだに結論が出ておらず、詳しい研究が続けられている。造血幹細胞(HSC)は細胞分裂が休止した状態になりやすいため、移植生物学でこれらの細胞をトランスレーショナル研究に使うことは困難である。骨髄ニッチは、HSCの再プログラム化や増殖制御に使えそうだと考えられていたが、新たな複数の研究によって、骨髄ニッチの複雑さはさらに深まっている。BENCH TO BEDSIDEではP S FrenetteとY Kunisakiがこのような研究を検証し、新しい構成要素とそれらが出すシグナルがHSCの維持にどう関与しているのか、またHSCを使う治療法の開発にそれらがどんな意味を持つのかを論じている。白血病で起こるさまざまな変化の中で、代謝に関わる事象はがんの進行を助長するようだが、がんの素因にも関係している可能性がある。BEDSIDE TO BENCHでR Z Yusuf、Y-H WangおよびD T Scaddenは、骨髄異形成症候群や二次性白血病についての最近の臨床研究と実験研究を詳細に検討し、これらのがんで見られる代謝の変化は細胞自律的に生じるだけでなく、骨髄基質から発している可能性が考えられる理由について考察している。このニッチを標的とすることで、がん治療の経験者での二次性白血病のリスクを低減させる新しい道が開けるかもしれない。