Review エリテマトーデス:狼瘡を飼い馴らす―発症機序の新たな解明が臨床的進歩につながっていく 2012年6月1日 Nature Medicine 18, 6 doi: 10.1038/nm.2752 全身性エリテマトーデス(SLE)は、核自己抗原に対する寛容の喪失、病原性の自己抗体産生と多数の臓器系の損傷を特徴とする自己免疫疾患である。長年にわたって、SLE患者の管理は、経験に基づく免疫抑制療法に主に頼ってきたが、この治療法にはかなりの毒性が伴う上、SLEを常に適切に制御できるわけではない。疾患の発症機序あるいは進行を特異的に対象とする標的療法の開発は遅れている。それはSLEが複雑で不均質な特性を持つことが主な原因だが、それに加えて、臨床試験のための統一された転帰判定基準の設計が難しいことも挙げられる。SLE治療を向上させる可能性のある最近の進歩には、SLEの発症リスクに影響する遺伝学的変異の同定、自然免疫および適応免疫の活性化や寛容調節についての理解の進展、免疫細胞活性化や炎症経路の詳細な分析、組織損傷機構やマーカーの解明がある。こうした発見は、臨床試験設計の向上とあいまって、新世代のSLE治療の開発を開始するための基盤となる。 Full text PDF 目次へ戻る