Article 腫瘍:黒色腫のエキソソームはMETを介して骨髄前駆細胞を転移促進性表現型へと導く 2012年6月1日 Nature Medicine 18, 6 doi: 10.1038/nm.2753 腫瘍由来のエキソソームは、腫瘍形成メディエーターであることが新たに明らかになりつつある。我々は、マウスとヒト患者で、黒色腫由来のエキソソームが原発腫瘍と転移の形成に果たす機能を検討した。非常に転移性が高い黒色腫のエキソソームは、受容体型チロシンキナーゼMETを介して、骨髄前駆細胞を絶えず「教育」することによって原発腫瘍の転移挙動を増加させた。黒色腫由来のエキソソームはまた、転移前の部位で血管漏出を誘導し、c-Kitに加えて受容体型チロシンキナーゼのTie2とMetが陽性である血管形成誘導型の表現型へと骨髄前駆細胞を再プログラム化した。エキソソームでのMet発現を低下させると、骨髄細胞の転移誘発的挙動が消失した。特に、転移性黒色腫患者の循環中にあるCD45−C-KITlow/+TIE2+骨髄前駆細胞では、METの発現が上昇していた。膜輸送とエキソソーム形成の調節因子であるRAB1A、RAB5B、RAB7およびRAB27Aは、黒色腫細胞で高度に発現していた。Rab27AのRNA干渉はエキソソーム産生を低下させて、骨髄細胞の「教育」が阻止され、腫瘍増殖と転移が低減した。さらに我々は、TYRP2、VLA-4、HSP70、HSP90アイソフォームの1つとMETがんタンパク質からなるエキソソーム特異的な黒色腫のシグネチャーを明らかにした。これは、予後予測と治療に使える可能性がある。今回のデータは、エキソソームの産生と輸送、および骨髄細胞の誘導は腫瘍増殖と転移を促し、予後予測に重要で、転移過程における新たな治療管理に展望を与えることを示している。 Full text PDF 目次へ戻る