Letter 高脂血症・血管障害:ApoB含有リポタンパク質はVEGF受容体1の発現修飾により血管形成を調節する 2012年6月1日 Nature Medicine 18, 6 doi: 10.1038/nm.2759 先進国における心血管疾患の蔓延の主原因の1つが高脂血症であることはすでに明らかだが、リポタンパク質が内皮細胞に及ぼす直接的な影響は明らかになっておらず、議論が続いている。本論文では、リポタンパク質の存在による血管増殖調節の、これまで特徴が明らかにされていなかった機構について報告する。ゼブラフィッシュにおける血管障害の遺伝学的スクリーニングによって、まずアポリポタンパク質B(ApoB)含有リポタンパク質の生合成にかかわっているミクロソームトリグリセリド転移タンパク質をコードする遺伝子(mtp)にstalactite(stl)変異が見つかった。ゼブラフィッシュでリポタンパク質濃度を操作してやることにより、ApoBが血管形成を負に調節すること、また、この影響は主にApoB含有リポタンパク質内ApoBタンパク質粒子によるもので、その脂質部分によるものではないことがわかった。VEGFのデコイ受容体として機能する血管内皮増殖因子受容体1(VEGFR1)の発現低下が、リポタンパク質への内皮応答の主要なメディエーターであるという機構が明らかになり、また高脂血症マウスではVEGFR1の発現低下が観察された。これらの知見は、リポタンパク質関連血管障害の治療に新たな道を拓く可能性がある。 Full text PDF 目次へ戻る