Editorial 費用に対する考慮を超えて 2012年6月1日 Nature Medicine 18, 6 doi: 10.1038/nm.2842 ノバルティス社が、加齢性黄斑変性症(AMD)へのアバスチンの適用外使用を防ぐために、英国国営保健サービスに対して法的措置をとったことは、薬剤の安全性と品質に対する説明責任を保証するための現在の規制構造に難問を投げかけるものだ。同じくノバルティス社のAMD薬であるルセンティスとアバスチンを比較評価するために行われた臨床試験では、この2つは同等という結果が出ているが、費用対効果を考慮する英国臨床評価研究所(NICE)は、アバスチンをAMD薬として認可することを求めている。薬剤規制にかかわる米国食品医薬品局や欧州医薬品庁は効果と安全性を問題にし、薬の費用については無視するが、NICEや米国CMSは費用対効果の考察に基づいて薬剤を推奨する。アバスチンがAMD薬として広く使用されるようになれば、このような適用外使用の安全性と説明責任を保証するために、新たな規制体制が必要となるだろう。患者と薬を処方する医師の両方に対する責任を確保するには、医療供給者、医療技術評価者、それに眼科学会など、さまざまな分野の人々による協同的な努力が不可欠と考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る