Review 胎児医学:出生前ゲノム診断から胎児への個別化医療まで:進歩と難問 2012年7月1日 Nature Medicine 18, 7 doi: 10.1038/nm.2829 これまで個別化医療の中心となってきたのは、成人に影響する病気の予防と治療であった。遺伝子技術の進歩は、胎児に対する治療よりも出生前診断のほうに多く応用されてきたが、遺伝子やゲノムに関する情報は、妊娠の管理に影響を及ぼしはじめている。胎児ゲノムの塩基配列解読における最近の進歩は、遺伝子発現アレイを使うことによる胎児生理の理解の進展と相まって、胎児に対して個別化医療の手法を適用する技術的可能性が出てきたことを示している。本総説では、出生前遺伝子診断における最近の進歩、このような新規技術に関連する難問や、そこから得られる情報が胎児の治療にどのように使われるかについて述べる。歴史的には、出生前診断の目標は、親になる人に十分な説明を与えて選択を任せるインフォームドチョイスを提供することだった。現在我々は、この目標を拡大し、遺伝子、ゲノムおよびトランスクリプトームのデータを組み入れて、胎児治療に向けた新規な手法を開発することが可能なところに達しており、それを達成しなくてはならない。 Full text PDF 目次へ戻る