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繊維化:ADAM12+血管周囲細胞の細胞系譜追跡と遺伝的破壊により明らかになった急性組織損傷時の繊維化促進性細胞の主要な供給源

Nature Medicine 18, 8 doi: 10.1038/nm.2848

傷害時に産生される繊維化促進性の細胞は、永続的な瘢痕組織を形成し器官回復を損なうが、その起源と細胞運命ははっきりしていない。今回我々は、ADAM12(a disintegrin and metalloprotease 12)の一過性発現により、筋肉と真皮で急性損傷時に活性化される血小板由来増殖因子受容体α陽性間質細胞の炎症促進性をもつサブセットを同定した。さらに、遺伝子誘導による運命マッピングを行い、傷害によって誘導されるADAM12+細胞が、瘢痕形成時に生じ、創傷治癒中に次第に消失するコラーゲン過剰産生細胞の大部分の特異的前駆細胞であることをin vivoで実証した。ADAM12+細胞の遺伝的除去あるいはADAM12のノックダウンは、繊維化促進細胞の産生と間質へのコラーゲン沈着を制限するのに十分である。損傷時に誘導されるADAM12+細胞は、筋系や皮膚系の細胞とは発生的に異なり、血管壁発生中にプログラムされる胎児型ADAM12+細胞から派生する。したがって、我々の結果は血管周囲空間に存在し、損傷時に活性化される繊維化促進性の前駆細胞を明らかにしたもので、ADAM12を介してこの細胞を、織瘢痕形成を制限するための標的とすることが可能と考えられる。

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