Technical Report

ワクチン:直腸生殖器ウイルス感染を抑制するための、大腸を送達標的とするナノ粒子放出型経口ワクチン

Nature Medicine 18, 8 doi: 10.1038/nm.2866

直腸と膣の粘膜表面はどちらも病原微生物の感染経路となっている。動物実験では、大腸粘膜を介したワクチン接種は、直腸と膣のどちらの粘膜部位に対しても防御効果を示すことがすでに実証されており、こうしたワクチン接種は結腸直腸内への直接投与によって達成可能だが、この経路は臨床では非実用的である。ワクチンの経口送達が望ましい方法と考えられるが、上部消化管でワクチン成分が破壊されるおそれがある。そこで我々は、ワクチンナノ粒子を包含するpH依存性微粒子を使い、大腸を送達標的とする経口投与法を設計した。マウスでは、この方法により結腸直腸ワクチン接種に匹敵する結腸直腸免疫が誘導され、直腸および膣へのウイルス攻撃が防御された。逆に、小腸を送達標的とするワクチンでは、小腸免疫しか誘導されず、結腸でも膣でも防御効果はみられなかったことから、腸管粘膜免疫系内の機能的区画化が明らかとなった。したがって、この大腸を標的とし、小腸では取り込まれない経口ワクチン送達系は、直腸および膣の粘膜の免疫防御のための実現可能な新戦略となる可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度