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うつ病:大うつ病性障害で見られるシナプス関連遺伝子の発現低下とシナプス喪失

Nature Medicine 18, 9 doi: 10.1038/nm.2886

画像化法や死後脳を使ったこれまでの研究から、大うつ病性障害(MDD)の患者では脳の体積が減少し、前頭前野背外側(dlPFC)ではニューロンのサイズ減少および密度低下が見られることが報告されている。これらの知見は、MDD患者のdlPFCでは、シナプス数の減少ならびに機能の低下が生じることを示唆している。しかし、MDDでのシナプス喪失の直接的証拠はこれまでに報告されておらず、このような影響を及ぼす遺伝子発現変化は突き止められていない。今回我々は、マイクロアレイを用いた遺伝子プロファイリングと電子顕微鏡を用いた立体解析によって、MDD患者のdlPFCではシナプス機能に関連する遺伝子(CALM2SYN1RAB3ARAB4BおよびTUBB4)の発現低下とそれに相関するシナプス数減少が認められることを明らかにした。さらに、MDDでは高度に発現されており、PFCニューロンで発現された場合には単独でシナプス関連遺伝子の発現を低下させうる転写抑制因子のGATA1が、うつのラットモデルで樹状突起棘および樹状突起の喪失を引き起こし、抑うつ様行動を生じさせることを明らかにする。

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