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代謝:オートファジー欠損はFgf21をmitokineとして誘導することで肥満やインスリン抵抗性に対する防御を引き起こす
Nature Medicine 19, 1 doi: 10.1038/nm.3014
グルコースや脂質の代謝におけるオートファジーの役割については関心が高まっており、研究論文も急増しているにもかかわらず、まだ解明に至っていない。我々は、骨格筋特異的にAtg7(autophagy-related 7をコードする)を欠失させたマウスを作製した。意外にも、このマウスでは脂肪量の減少がみられ、また、食餌性肥満やインスリン抵抗性が起こりにくかった。この表現型は、脂肪酸酸化の増加と白色脂肪組織(WAT)の褐色化を伴っており、これらは繊維芽細胞増殖因子21(Fgf21)の誘導によって起こった。オートファジー欠損によって誘導されるミトコンドリア機能不全は、integrated stress responseのマスター調節因子であるAtf4の誘導を介してFgf21発現を増加させた。ミトコンドリア呼吸鎖阻害剤も、Atf4依存的にFgf21を誘導した。別のインスリン標的組織である肝臓でオートファジーを欠損するマウスでも、Fgf21の誘導、食餌性肥満への抵抗性やインスリン抵抗性の軽減が観察された。これらの知見は、オートファジー欠損とそれに続いて起こるミトコンドリア機能不全が、Fgf21の発現を促進することを示唆しており、したがって我々はこのホルモンを「mitokine」と命名した。また、これらの過程はともに、食餌性肥満とインスリン抵抗性に対する防御作用を促進する。