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アルツハイマー病:βアレスチン2はアルツハイマー病でのAβ産生およびγ-セクレターゼ活性を調節する

Nature Medicine 19, 1 doi: 10.1038/nm.3023

βアレスチン2は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)シグナル伝達および調節の多くの面にかかわっていて、そのため多様な生理的また病態生理学的過程に影響を与える。今回我々は、アルツハイマー病患者の2つの無関係なコホートで、βアレスチン2の発現上昇がみられたことを報告する。βアレスチン2の過剰発現は、アミロイドβ(Aβ)ペプチドの産生増加につながるが、Arrb2(βアレスチン2をコードする)のサイレンシングは、培養細胞およびArrb2−/−マウスでAβの産生を低下させる。さらに、アルツハイマー病の遺伝子導入マウスモデルでは、Arrb2を遺伝学的に欠失させるとAβ40およびAβ42の産生が低下する。以前にアルツハイマー病への関与が示されていた2種類のGPCR(GPR3およびβ2-アドレナリン受容体)は、βアレスチン2との相互作用を介してAβ産生に影響を及ぼす。βアレスチン2は、γ-セクレターゼ複合体のAph-1aサブユニットと物理的に結合し、この複合体を界面活性剤の影響を受けにくい膜へ再分配し、複合体の触媒活性を増加させる。まとめると、今回の研究はβアレスチン2がアルツハイマー病におけるアミロイドの病的蓄積状態およびGPCR機能不全を軽減させる新規治療標的であることを明らかにしている。

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