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肺高血圧:肺動脈性高血圧ではmiR-424とmiR-503を介する内皮アペリン–FGFシグナル伝達経路が分断されている

Nature Medicine 19, 1 doi: 10.1038/nm.3040

肺動脈性高血圧(PAH)は、肺細動脈の閉塞と、過剰増殖性の内皮細胞・血管平滑筋細胞が作る網状病変形成をともなう血管リモデリングを特徴とする。今回我々は、肺動脈内皮細胞(PAEC)でのアペリン(APLN)と繊維芽細胞増殖因子2(FGF2)間のマイクロRNA(miRNA)がかかわるシグナル伝達経路について述べる。このような細胞でAPLNが欠失すると、FGF2とFGFR1を直接標的としているmiR-424およびmiR-503の発現が低下した結果、FGF2とその受容体FGFR1の発現増加が引き起こされる。miR-424とmiR-503の発現はPAHでは低下しており、これがPAECに抗増殖的な影響を及ぼし、PAEC培養上清の肺動脈平滑筋細胞の増殖誘導能を阻害した。肺動脈性高血圧の実験モデルでは、miR-424とmiR-503のin vivoでの再構築が肺高血圧を軽減した。以上の結果は、肺血管恒常性の維持に必要なアペリン依存性のmiRNA-FGFシグナル伝達軸を明らかにしている。

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