Editorial

動物実験:バランスを維持する

Nature Medicine 19, 10 doi: 10.1038/nm.3382

ヒトが手にするさまざまな健康上の恩恵は、実験動物を犠牲にすることで得られている。しかし、動物の権利保護団体の各国での活動に加えて、イタリアでは広範囲にわたる研究で動物の使用を制限する法律の制定が求められているなど、動物実験に対する風当たりは強くなる一方である。動物の使用を最低限に止めるための新たなモデルや手法の探索が必要なことはもちろんだが、組織あるいは単一の臓器と体全体の動的相互関係を模倣できるようなモデルが作製されない限り、動物実験の必要性は消えないだろう。また、動物実験を大幅に制限することが動物の救済に本当につながるのか、こうした制限が倫理的規制や監督がもっと緩やかな国での実験を増やす結果とはならないのかも、よく見定めなくてはいけない。動物実験をやみくもに禁止して、研究成果がもたらすだろう恩恵を拒否するのは、さらなる犠牲を生み出すことになりかねないのだ。

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