Review
がんの標的治療:腫瘍の転移:新しい生物学的考察を臨床へ持ち込む
Nature Medicine 19, 11 doi: 10.1038/nm.3391
ほとんどのがん関連死の隠れた原因は転移であり、転移は致死的な疾患としてのがんと闘う我々の努力における最大の難問となっている。この10年間での転移研究の急激な進歩により、転移挙動を支配する腫瘍内因的機構と腫瘍外部の機構、多様ながんで見られるさまざまな転移進行過程を引き起こす分子的および細胞的基盤、転移がんが現行の治療に対して示す不応性は何によるのかといった問題についての情報は、これまでにないほど豊富になっている。だが、このような新しい知識を統合して、転移を対象とする改良型の抗腫瘍薬開発戦略を設計することが、プログレッションのあらゆる段階で転移性疾患の発症を阻止するのには必要なのである。