Review
がんの標的治療:RAF阻害剤に対する腫瘍の適応と耐性
Nature Medicine 19, 11 doi: 10.1038/nm.3392
RAFキナーゼ阻害剤はBRAF変異型黒色腫の患者で相当な治療効果を示す。しかし、腫瘍が完全に退縮することはまれであり、治療効果は一過性であることが多い。RAF阻害剤に対して耐性の生じる機構はいくつか考えられている。そうした耐性機構の大半では、細胞内のRAF二量体の量の増加によって、ERKシグナル伝達がRAF阻害剤治療に反応しなくなると考えられているが、腫瘍の変異型RAFへの依存性を考えない耐性機構も提案されている。薬物耐性機構の研究からは、薬剤耐性クローンの出現を遅らせたり、防止したりする新しい治療標的や合理的な併用戦略が見つかる場合がある。本総説では、現行のRAF阻害剤耐性モデルについて、BRAF変異型腫瘍の患者に対する、より有効性の高い治療戦略開発のための現在進行中の基礎科学的および臨床的な取り組みにこのモデルが及ぼす影響に焦点を合わせて、再検討する。