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代謝:Acc1およびAcc2に存在する単一のリン酸化部位は脂質恒常性とメトホルミンのインスリン感作効果を調節する
Nature Medicine 19, 12 doi: 10.1038/nm.3372
肥満の広がりは、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)や2型糖尿病の発症率の上昇を引き起こしている。AMP活性化プロテインキナーゼ(Ampk)は、エネルギー恒常性を調節しており、細胞ストレス、ホルモン、また広く処方されている2型糖尿病治療薬メトホルミンによって活性化される。Ampkは、マウスのアセチルCoAカルボキシラーゼ1(Acc1)のSer79、およびAcc2のSer212をリン酸化することで、アセチルCoAのマロニルCoAへの変換を阻害する。代謝産物であるマロニルCoAは脂肪酸合成の前駆体で、ミトコンドリアでの酸化のための脂肪酸輸送をアロステリックに阻害する。このようなリン酸化事象の生理学的影響を検討するために、Acc1のSer79およびAcc2のSer212の両方にアラニンのノックイン変異を持つマウス(Acc二重ノックイン、AccDKI)を作製した。このマウスは、野生型マウスに比べると脂質生成が増大し、脂肪酸酸化が低下していて、これらはインスリン抵抗性、糖不耐性およびNAFLD進行の一因となるが、肥満には関与しない。注目すべきは、高脂肪食摂取によって肥満したAccDKIマウスは、メトホルミンの脂質減少効果およびインスリン感作効果に不応性であることである。これらの知見は、AmpkによるAccの阻害性リン酸化が脂質代謝の制御に不可欠であり、また肥満の場合には、メトホルミン誘導性のインスリン作用改善にも不可欠であることを確証している。