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腎疾患:UMOD遺伝子のよく見られる非コード変異体はウロモジュリンの発現を高めて食塩感受性高血圧と腎臓損傷を引き起こす

Nature Medicine 19, 12 doi: 10.1038/nm.3384

高血圧や慢性腎臓病(CKD)は複雑な形質であり、世界的に重要な健康問題となっている。複数の全ゲノム関連解析で、正常な尿中に分泌される主要なタンパク質のウロモジュリンをコードするUMOD遺伝子のプロモーター領域に変異が頻繁に見つかっていて、こうした変異はそれぞれ独立に、CKDや高血圧に対する易罹患性を生じさせている。UMODのリスク変異と易罹患性の間の関連を示す説得力のある遺伝学的証拠が一般集団で得られているにもかかわらず、その基盤となる生物学的機構については分かっていない。本研究では、UMODリスク変異がin vitroおよびin vivoUMODの発現を増加させることを示す。トランスジェニックマウスでのウロモジュリンの過剰発現は、食塩感受性高血圧を引き起こし、またUMODプロモーター・リスク変異をホモ接合でもつ高齢者で見られる症状と類似した、加齢依存的な腎臓障害につながった。ウロモジュリンと高血圧が結びつくのは、腎臓のナトリウム共輸送体NKCC2の活性化によっている。UMODプロモーターのリスク変異をホモ接合でもつ高血圧患者では、他の高血圧患者に比べて、NKCC2の薬理学的阻害が血圧降下により有効であったことから、この機構はヒトでも働いていることが明らかになった。今回の知見は、高血圧とCKDの遺伝的易罹患性を、ウロモジュリンの発現レベルや、腎臓での塩分再吸収へのウロモジュリンの影響と関連づけるものである。これらの結果はまた、ウロモジュリンが血圧降下や腎機能保存のための治療標的であることを示している。

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