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免疫:CD28シグナルおよびITKシグナルは自己反応性T細胞の移動を調節する
Nature Medicine 19, 12 doi: 10.1038/nm.3393
自己反応性T細胞の活性化と標的組織への移動は、自己免疫性臓器破壊を引き起こす。抑制性の共受容体であるCTLA-4(cytotoxic T lymphocyte antigen-4)を欠損するマウスでは、非リンパ系組織へのリンパ球浸潤を特徴とする致死的な自己免疫が見られる。本論文では、CD28共刺激経路が、自己反応性Ctla4-−/− T細胞の組織への移動を調節することを明らかにする。CD28によって活性化されるTecファミリーキナーゼのITKをCTLA-4と同時に欠失させると、自発的なT細胞活性化は防止されないが、自己反応性のCtla4−/− T細胞が二次リンパ器官に蓄積するようになる。Itk−/−、Ctla4−/−マウスは、リンパ系器官でT細胞の過剰な自発的活性化と増殖が起こるが、それ以外は健常で、抗ウイルス免疫応答を起こし、寿命は長い。ITKは自己反応性T細胞を選択的に組織へ移動させることで、破壊的な免疫応答を開始させると我々は考える。ITK阻害物質はItkヌル変異表現型を模倣し、また1型糖尿病マウスモデルで糖尿病誘発性T細胞の膵島浸潤も防止する。このことは、ヒト自己免疫疾患の治療にITK阻害物質が有用となる可能性を明確に示している。