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神経疾患:アンモニアはアストロサイトのカリウム緩衝機能の障害により神経の脱抑制と痙攣を引き起こす

Nature Medicine 19, 12 doi: 10.1038/nm.3400

アンモニアは、タンパク質代謝の広く見られる廃棄物であり、多くの代謝疾患で蓄積して、認知障害から振戦、運動失調、昏睡と死亡などの広範囲にわたる神経障害を引き起こすことがある。NH3という気体状アンモニアは血液−脳関門を容易に通過し、アストロサイトに局在する主要な排泄経路を急速に飽和状態にするので、脳はアンモニアに対して特に脆弱である。そこで我々は、高アンモニア血症に特徴的な初期の神経機能障害にアストロサイトがどのように関わっているのか、その機構についてin vivoで解明を試みた。頭部を固定した覚醒マウスで2光子画像化法と電気生理学的手法を用いることで、アンモニアがアストロサイトのカリウム緩衝機能を迅速に障害し、細胞外カリウム濃度を上昇させ、ニューロンのNKCC1(Na+-K+-2Cl cotransporter isoform 1)を過剰に活性化することが分かった。その結果生じるニューロンのGABA逆転電位(EGABA)の脱分極は、皮質の抑制性回路を選択的に障害する。NKCC1の遺伝的欠失あるいは臨床的に使われている利尿薬ブメタニドによるNKCC1の阻害は、アンモニア誘発性神経機能不全を強力に抑制する。急性期にアストロサイトの膨張あるいは脳浮腫が見られなかったことから、アンモニアの神経毒性作用に関する現在の考え方は疑がわしいと我々は考える。我々の結果は、アストロサイトのカリウム緩衝障害がアンモニア神経毒性の重要な機序であることを明らかにしており、NKCC1の阻害によるこの経路の遮断が治療に有効となる可能性を明確に示している。

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