Review
脳:血液脳関門の発生、維持と崩壊
Nature Medicine 19, 12 doi: 10.1038/nm.3407
血液循環と神経組織との間の境界面は独自の特性を持っており、こうした性質は「血液脳関門(BBB)」という語でひとくくりにされている。BBBという障壁の主要な機能、すなわち脳の恒常性維持、流入および流出輸送系の調節と有害物質からの保護は、複数種の細胞からなる特殊化した構造が決め手となっている。BBBを構成する各種の細胞はどれもがBBBの完全性に不可欠な役割を担っている。もし、BBBの構成要素の1つが機能しなくなり、その結果として障壁機能が崩壊すれば重大な結果につながり、神経炎症や神経変性が起こりかねない。本総説では、BBBの発生と維持の機序について最近得られた知見にまず注目し、さらにBBBの崩壊が神経疾患を引き起こしたり、あるいは疾患を助長したりする仕組みについて論じる。また、BBB修復の新たな可能性を探るのに、このような知見がどのように役立つかについても検討する。