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心筋症:NOTCH経路調節因子MIB1の変異は左室緻密化障害という心筋症を引き起こす
Nature Medicine 19, 2 doi: 10.1038/nm.3046
左室緻密化障害(LVNC)は心室での顕著な肉柱形成を引き起こし、心臓の収縮機能を低下させる。LVNCの臨床所見は、無症状から心不全まで幅広い。ヒトMIB1(mindbomb homolog 1)は、NOTCHリガンドであるDELTAとJAGGEDのエンドサイトーシスを促進するE3ユビキチンリガーゼをコードしている。MIB1の生殖細胞系列突然変異は常染色体優性家系でLVNCを引き起こし、それによって発症した患者ではNOTCH1の活性低下と、NOTCH1標的遺伝子の発現低下がみられることがわかった。細胞およびゼブラフィッシュ胚での機能解析とin silicoモデルから、MIB1が二量体として機能し、ヒト変異ではこの二量体が崩壊していることが示された。マウス心筋でのMib1を標的とした不活性化はLVNCを引き起こし、この表現型は心筋のJagged1、あるいは心内膜のNotch1の不活性化で模倣される。心筋のMib1が変異している変異体では、心室のNotch1活性が低下し、緻密心筋が拡張して増殖性の未熟な肉柱となり、心臓の発達や疾患に関連する遺伝子の異常発現がみられる。これらの結果は、LVNCへのNOTCHシグナル伝達の関与を示しており、MIB1変異が心腔の心筋の発達を停止させ、肉柱成熟と緻密化を妨げることを示している。