Review
マラリア:マラリアにおける免疫機構:ワクチン開発のための新しい手がかり
Nature Medicine 19, 2 doi: 10.1038/nm.3083
マラリアワクチンについて初めて行われた第III相臨床試験から得られた初期のデータは、マラリアが流行している国々で認可ワクチンが間もなく使えるようになるという期待をもたらしている。だが、このワクチンの効果が比較的低いことを考えると、この結果は最終目標への到達としてではなく、ワクチン開発の行程における大きな一歩として捉えるべきであろう。ワクチン開発分野の関心は今や次世代のマラリアワクチンへと向いているが、こうした新規ワクチンが持つべき特徴や、それを評価すべき方法についてはいまだにはっきりしていない。本総説では、マラリアワクチンに求められる疫学的・免疫学的特徴と、マラリアワクチン開発の最近の変遷を概説し、そのうえでこの分野におけるこれからの研究方針を提案する。より効果の高いマラリアワクチンの合理的な設計は、寄生虫の規制、制圧や撲滅にかかわる免疫エフェクター作用機序の解明をさらに進めることで推進されると我々は考える。