Editorial 長い中断 2013年2月1日 Nature Medicine 19, 2 doi: 10.1038/nm.3099 昨年1月、研究者たちは、哺乳類への感染力を高めた高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1の作出につながる研究を一時自粛することを決めた。鳥インフルエンザウイルスは、変異を起こして、ヒト間で迅速に伝播するようになることが非常に恐れられている。パンデミック対策に非常に重要だと考えられるこうした研究の一時中止は、研究の合理的根拠を明らかにし、安全対策を検討し、こうした研究への助成金の必要性を再考してもらうためのものだった。しかし、当初は60日とされた停止期間は結局2013年1月までに延長された。そして今、オランダの研究施設では再開が予定されているが、それ以外ではまだ研究再開のめどがたっていない。一方、米国厚生省は高病原性H5N1を用いるすべての研究を対象とする新たな制限規定の実施を求めている。インフルエンザ研究の中断が長引き、これ以上研究費の削減や研究規制が行われれば、事態は確実に悪化の一途をたどるだろう。病気という大災害を防ぐ唯一の方法は、その病気に対する知識を増やすことなのだ。 Full text PDF 目次へ戻る