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白血病:NT5C2ヌクレオチダーゼ遺伝子の活性化変異は再発したALLの化学療法抵抗性を進行させる
Nature Medicine 19, 3 doi: 10.1038/nm.3078
急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、リンパ系前駆細胞の悪性の形質転換から生じる血液悪性腫瘍である。集中化学療法を行った場合でも、ALLの小児患者の20%および成人患者の50%以上が完全寛解に達しないか、集中化学療法後の再発を見ており、病気の再発と治療への抵抗性がこの病気の治療における最大の難問となっている。我々は、全エキソーム塩基配列解読により、再発T細胞ALLの20/103 (19%)および再発B前駆細胞ALLの1/35(3%)で、5′-ヌクレオチダーゼをコードする細胞質型5′-ヌクレオチダーゼII遺伝子(NT5C2)中に変異が生じていることを突き止めた。この酵素は、ヌクレオシド類似体である化学療法剤の不活性化にかかわっている。NT5C2変異タンパク質はin vitroでヌクレオチダーゼ活性が上昇しており、またALLリンパ芽球に発現させると、6-メルカプトプリンおよび6-チオグアニンを用いた化学療法に対する抵抗性を付与することがわかった。これらの結果は、NT5C2の活性化変異とヌクレオシド類似体代謝の増強がALLの病状進行と化学療法抵抗性に重要な役割を果たすことを確証している。