Perspective

ウイルス感染症:単純ヘルペスウイルス2型感染でみられる迅速な宿主免疫応答とウイルス動態

Nature Medicine 19, 3 doi: 10.1038/nm.3103

単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)は、ヒト生殖管全体にわたって周期的にウイルスを排出している。高ウイルス負荷は生殖器潰瘍の発症と相関するが、ウイルスの排出は潰瘍が存在しない場合でさえ普通に起こっていて、性交時のサイレント伝播を引き起こし、HSV-2の世界的に高い血清学的有病率の一因となっている。神経節内では、HSV-2を潜伏状態に向かわせる多様で相補的な機構が宿主とウイルスの両方に存在するにもかかわらず、ウイルスの再活性化がしばしば起こっており、これはウイルスの複製がこれらの部位の少数のニューロンで常時起こっている可能性を示唆している。生殖器粘膜内では、HSV-2のin vivo増殖速度およびクリアランス速度はきわめて速い。常在する樹状細胞やHSV-2特異的記憶T細胞は、生殖管でウイルス再活性化の起こる重要な部位に継続して存在しており、これが感染細胞が自然免疫系によって即座に認識されるのと相まって、感染細胞の迅速な封じ込めにつながる。生殖器皮膚では、免疫応答が病状発現前にウイルス複製をおおむね制御しているというこの事実から、このような応答の増強が有効なワクチンや免疫療法の開発につながる可能性が期待される。

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