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聴覚障害:ヒト難聴のマウスモデルでのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる聴覚および前庭機能の回復

Nature Medicine 19, 3 doi: 10.1038/nm.3106

聴覚障害は最もよくみられる感覚障害で、先天性聴覚障害は新生児1,000人にほぼ1人の割合で存在する。遺伝性難聴は、蝸牛有毛細胞の発生異常あるいは変性によって起こることが多い。今のところ、そのような先天性障害が治療的介入により緩和できるかどうかはわかっていない。本論文では、ヒトの遺伝性難聴のマウスモデルでは、聴覚と前庭機能が救済可能であることを示す。USH1C遺伝子のc.216G>A変異は、ヒトのアッシャー症候群を引き起こし、盲ろうの主な遺伝学的原因とされている。我々はアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を用いて、この変異のあるUSH1C遺伝子の転写産物が受ける異常なmRNA前駆体スプライシングを修正した。新生マウスへのASOの単回全身投与によって、マウスではUsh1c c.216G>Aスプライシングが部分的に修正され、タンパク質発現の増加、蝸牛の不動毛構造の改善が起こり、蝸牛有毛細胞、前庭機能および低周波音に対する聴覚が救済される。このような影響が数か月間にわたって持続したことは、発達の早期に治療を行い遺伝子発現を修正すれば、先天性難聴を効果的に克服できることの証拠となり、また難聴の治療にASOが有用である可能性を実証している。

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