Editorial

予防対策での事故の予防

Nature Medicine 19, 3 doi: 10.1038/nm.3139

小児専用の医薬品が必要であることをはっきり示している例の1つが、母親から子供へのHIV感染である。現在、小児のHIV感染のほとんどは母子垂直感染によるものである。母親が抗レトロウイルス薬療法を受けても、残存するウイルスに新生児が感染する危険性は高く、新しい、より効果の高い小児用予防薬がどうしても必要とされている。現在アフリカでの施行が計画されている、HIV予防のための抗体薬VRC01を使った乳幼児を対象とする臨床試験には期待が寄せられている。しかし、一部の研究者は、これとは別の抗体薬のほうが有効だと主張している。これだけでなく、幼児対象の臨床試験には一般に難しい問題が多く、HIV治療薬の新しい臨床試験用の資金に限りがあることを考えれば、今回のような資金の乏しい条件下での抗体薬の小児臨床試験の倫理的枠組みについては、例えば米国医学研究所のような、倫理ばかりでなく、薬剤の選定などにも助言のできる専門機関が加わるのが賢明なやり方と考えられる。

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