Article 血液凝固:血液凝固Xa因子の直接阻害剤および間接阻害剤による凝固阻止を解消する特異的解毒剤 2013年4月1日 Nature Medicine 19, 4 doi: 10.1038/nm.3102 血液凝固Xa因子(fXa)の阻害剤は新種の抗血栓症薬の1つだが、重篤な出血のある患者のための有効な解毒剤はまだ存在しない。我々はfXa阻害剤の解毒剤として改変型fXaを設計し、これを発現させた。この組換えタンパク質(r-Antidote、PRT064445)は凝固活性を示さず、正常なfXaにあって膜への結合に使われるγカルボキシグルタミン酸ドメインを欠いているが、正常なfXaでみられるfXa直接阻害剤に対する結合能に加えて、低分子量ヘパリンによって活性化されたアンチトロンビンIII(ATIII)に対する結合能も保持している。r-Antidoteは、fXa直接阻害剤によるfXa阻害を用量依存的に防止し、このような阻害剤によるex vivoでの凝固時間延長を抑制した。fXa直接阻害剤であるリバロキサバンを投与されたウサギでは、肝損傷モデルでr-Antidoteによって止血機能が回復した。r-Antidoteの効果は、血漿中の抗fXa活性の低下とfXa阻害剤のタンパク質非結合分画の減少によるものだった。ラットでは、エノキサパリンあるいはフォンダパリヌクスによるATIII依存性の抗凝固作用に起因する失血量増大が、r-Antidoteの投与によって用量依存的に完全に防止された。r-Antidoteは、多様なfXa阻害剤に使用できる一般的解毒剤となると考えられる。 Full text PDF 目次へ戻る