Technical Report 画像化法:深部組織ミエロペルオキシダーゼ活性の近赤外ナノ粒子の発光励起による増幅検出 2013年4月1日 Nature Medicine 19, 4 doi: 10.1038/nm.3110 炎症疾患の際に浸潤する好中球のミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性の光学的画像化にルミノールを使うことは、以前に報告されている。この検出法は、ルミノールとMPO代謝産物の間で起こる光子放出反応に基づいている。しかし、ルミノールの発する青色光は組織によって吸収・散乱されるため、高効率で検出できるのは表層の炎症部位からのものだけである。本論文では、ルミノールの発した青色光がナノ粒子を励起して近赤外スペクトル域内の光を放出させる、化学発光共鳴エネルギー移動(CRET)法について報告し、この手法でin vivoのMPO検出能力が大幅に高まることを示す。リポ多糖投与後の肺組織でのMPO活性検出では、CRET法による発光量はルミノールだけの場合の37倍になった。CRET法の化学発光シグナルがMPO活性に依存することは、MPO欠損マウスを用いて確認された。また、MPOの不可逆的阻害剤である4-アミノ安息香酸ヒドラジド(4-ABAH)の同時投与により、炎症を起こした肺からの光放出は著しく減弱した。一酸化窒素合成酵素を非特異的阻害剤のL-NAMEで阻害しても、ルミノールが介在する化学発光の量にはまったく影響がなかった。IKK-2の選択的阻害剤であるMLN120Bをあらかじめマウスに投与しておくと、肺組織への好中球浸潤が抑制され、MPO活性は低下した。また、腫瘍発生に関連した好中球浸潤による深部組織腫瘍巣でのMPO活性を高効率で検出できることも実証された。我々が今回開発した高感度のMPO検出法は、深部組織内の酸化ストレスを視覚化および定量化する手段となる。この手法は、動物モデルで抗炎症薬の迅速な評価を行うのに適している。 Full text PDF 目次へ戻る