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アテローム発生:巨核球前駆細胞からのコレステロール排出は血小板産生と血小板の異常な増加を抑制する
Nature Medicine 19, 5 doi: 10.1038/nm.3150
血小板はアテローム発生とその合併症に重要な役割を担っている。高コレステロール血症および血小板産生増加はともに、アテローム血栓症を促進する。しかし、コレステロール恒常性の変化と血小板産生の間に考えられる関連については調べられていない。本論文では、機能不明の輸送体であるABCG4を欠損する骨髄をLdlr−/−マウスに移植すると、血小板の異常な増加、血栓形成促進およびアテローム性動脈硬化が起こることを示す。Abcg4は、アテローム性動脈硬化病変部では検出されないが、骨髄の巨核球前駆細胞(MkP)では非常に高度に発現していた。Abcg4−/− MkPでは、高密度リポタンパク質(HDL)へのコレステロール移動の欠損、トロンボポエチン受容体(c-MPL)の細胞表面での発現増加および増殖促進がみられた。ABCG4欠損のこのような結果は、E3リガーゼc-CBLおよびコレステロールを感知するLYNキナーゼによるc-MPLシグナル伝達の負のフィードバック調節の破綻を反映しているようにみえた。HDL注入により、Ldlr−/−マウスおよび骨髄増殖性腫瘍のマウスモデルでは、ABCG4に依存する形で血小板数が減少した。HDL注入は血小板産生増加に関連するアテローム血栓性事象を減らす新しい方法となる可能性がある。