Review 免疫:胎児母体間免疫クロストークと母子の健康に対するその影響 2013年5月1日 Nature Medicine 19, 5 doi: 10.1038/nm.3160 哺乳類の生殖の際に開始される適応過程の機序については、解明が進みつつある。侵入してくる胎児栄養芽細胞の間の機能的シナプス形成のような、胎児母体界面で形成される複雑な反応経路、また母親の多様な免疫細胞サブセットやエピジェネティックな修飾を受けた脱落膜の間質細胞の関与が現在明らかになっている。これらの複雑な経路は相助的に働いて、半同種異系である胎児が発育できる寛容ニッチを作り出す。胎児母体間の免疫クロストークに関する新たな知見は、妊娠合併症の病因の解明に加えて、出生後の健康不良の原因解明にも役立つと考えられる。さらに、妊娠に対する母体の免疫適応が自己免疫疾患活動性に及ぼす影響も、徐々に明らかになってきている。したがって、胎児母体間免疫クロストークに関する考察は、妊娠関連合併症の解明を進めるだけでなく、生殖以外の臨床状況下で免疫寛容が調節される仕組みについて知るのにも役立つだろう。 Full text PDF 目次へ戻る